RTX 4070 Ti Superの性能比較：競合GPUとの徹底対決

2024年に登場したNVIDIA GeForce RTX 4070 Ti Superは、Ada Lovelaceアーキテクチャを採用したミドルレンジ上位のグラフィックスカードとして注目を集めています。
16GBのVRAM、256ビットのメモリバス、DLSS 3によるAIアップスケーリングなど、従来のRTX 4070 Tiから大幅なアップグレードを果たしました。

しかし、$799という価格帯で、AMDのRadeon RX 7900 XTや前世代のRTX 4070 Ti、さらにはRTX 4080や新世代のRTX 5070 Tiと比較して、どれほど価値があるのでしょうか？本記事では、RTX 4070 Ti Superの性能を競合GPUと徹底比較し、ゲーマーやクリエイターにとって最適な選択肢かどうかを詳細に解説します。
ゲーム性能、レイトレーシング、消費電力、コストパフォーマンスを軸に、あなたのニーズに合ったGPU選びをサポートします。

 

 

RTX 4070 Ti Superの概要と主要スペック

 

RTX 4070 Ti Superは、RTX 4070 Tiの後継モデルとして2024年1月24日に発売されました。
もともと「RTX 4080 12GB」として計画されていたこのGPUは、命名の混乱を避けるために「RTX 4070 Ti」として再リリースされ、Super版ではさらなる改良が加えられています。
以下は主要スペックの概要です：

 

 

• GPU：AD103（TSMC 4Nプロセス、378mm²）

 

• CUDAコア：8,448（RTX 4070 Ti比で10%増）

 

• VRAM：16GB GDDR6X（21Gbps、256ビット、帯域幅672GB/s）

 

• RTコア：66（第3世代）

 

• Tensorコア：264（第4世代、DLSS 3対応）

 

• ベース/ブーストクロック：2,340MHz / 2,610MHz（工場OCモデルは最大2,655MHz）

 

• TDP：285W（推奨電源700W～850W）

 

• MSRP：$799（約12万円～14万円、為替レートや地域により変動）

 

RTX 4070 Ti Superの最大の特徴は、RTX 4070 Tiの12GB/192ビットメモリから16GB/256ビットにアップグレードされた点です。
これにより、4Kゲーミングやメモリ依存度の高いクリエイティブ作業でのパフォーマンスが向上。
また、CUDAコアの増加とAD103チップの採用により、RTX 4080に迫る性能を持ちつつ、価格は抑えられています。

 

比較対象GPUの選定

 

RTX 4070 Ti Superの性能を評価するため、以下の競合GPUを比較対象として選びました。
各GPUの特徴と価格帯を簡単にまとめます。

 

NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti（旧モデル）

 

価格：$799（現在は生産終了、市場価格は$700～$800）

概要：RTX 4070 Ti Superの前身。
12GB VRAMと192ビットメモリバスが主な制約。
性能はSuper版より5～10%低いとされるが、価格が下がればコストパフォーマンスは高い。

 

NVIDIA GeForce RTX 4070 Super

 

価格：$599（約9万円～11万円）

概要：RTX 4070の強化版で、12GB VRAMと192ビットメモリバス。
CUDAコアは7,168とやや少なく、価格は$200安価。
1440pゲーミングに最適。

 

NVIDIA GeForce RTX 4080

 

価格：$1,199（約18万円～20万円）

概要：ハイエンドモデルで、16GB VRAMと256ビットメモリバス、9,728 CUDAコアを搭載。
4Kゲーミングやプロフェッショナル用途に優れるが、価格はRTX 4070 Ti Superの1.5倍。

 

NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti

 

価格：$749（約11万円～13万円）

概要：2025年発売のBlackwellアーキテクチャ採用モデル。
16GB GDDR7（28Gbps、896GB/s）とDLSS 4を搭載。
RTX 4070 Ti Superより5～20%高い性能だが、供給不足が課題。

 

AMD Radeon RX 7900 XT

 

価格：$899（約13万円～15万円、値下げで$800前後も）

概要：20GB VRAMと320ビットメモリバスを搭載するAMDのハイエンドGPU。
レイトレーシングではNVIDIAに劣るが、ラスタライズ性能は競合。

 

AMD Radeon RX 7900 XTX

 

価格：$999（約15万円～17万円）

概要：24GB VRAMと384ビットメモリバスを誇るAMDのフラッグシップ。
ラスタライズ性能はRTX 4080に近く、価格はRTX 4070 Ti Superより高い。

 

これらのGPUは、価格帯や性能がRTX 4070 Ti Superと近接しており、ゲーマーやクリエイターが選択肢として検討する可能性が高いモデルです。
以下では、ゲーム性能、レイトレーシング、消費電力、コストパフォーマンスを軸に比較します。

 

ゲーム性能の比較：1080p、1440p、4K

 

RTX 4070 Ti Superのゲーム性能を、主要な解像度（1080p、1440p、4K）で競合GPUと比較します。
テストデータは、複数のベンチマーク（Cyberpunk 2077、Forza Horizon 5、Returnalなど）を基にしています。

 

1080pゲーミング

 

1080pでは、CPUボトルネックによりGPU間の性能差が縮小します。
RTX 4070 Ti Superは、平均でRTX 4070 Tiを5～9%上回り、RTX 4070 Superを15～20%上回ります。
たとえば、Forza Horizon 5では、RTX 4070 Ti Superが171fpsを記録し、RTX 4070 Ti（160fps）やRTX 4070 Super（140fps）をリード。
RX 7900 XT（166fps）とはほぼ互角だが、RX 7900 XTX（178fps）に若干劣ります。
RTX 5070 Tiは、DLSS 4の効果で122fps（Forza Motorsport）を記録し、RTX 4070 Ti Superを約20%上回る場面も。
1080pでは、RTX 4070 Ti Superは十分な性能だが、コストパフォーマンスではRTX 4070 SuperやRX 7900 XTが魅力的に映る場合があります。

 

1440pゲーミング

 

1440pは、RTX 4070 Ti Superの主戦場です。
Cyberpunk 2077（高設定、DLSSなし）では、RTX 4070 Ti Superが平均43fps（レイトレーシング有効）を記録し、RTX 4070 Ti（40fps）を7.5%上回ります。
RTX 4070 Superは35fpsで、約23%劣勢。
RX 7900 XTはラスタライズで50fpsとRTX 4070 Ti Superを上回るが、レイトレーシングでは33fpsに低下し、NVIDIAの優位性が明確に。
RTX 5070 Tiは、DLSS 4のMulti Frame Generationにより、Forza Motorsportで90fpsを達成し、RTX 4070 Ti Super（73fps）を大幅にリード。
RTX 4080は60fps以上で、4K志向のユーザー向け。
1440pでは、RTX 4070 Ti Superのバランスの良さが際立ちます。

 

4Kゲーミング

 

4Kでは、VRAMとメモリ帯域幅の重要性が増します。
RTX 4070 Ti Superの16GB VRAMは、RTX 4070 Ti（12GB）の5～10%の性能向上をもたらします。
Cyberpunk 2077（fear設定、DLSS 3有効）では、RTX 4070 Ti Superが93fpsを記録し、RTX 4070 Ti（87fps）を10.6%上回る。
RX 7900 XTは55fps（FSR 2使用）で、レイトレーシング性能の差が顕著。
RTX 5070 Tiは、GDDR7の帯域幅（896GB/s）により、4Kで15～20%高い性能を発揮し、Returnalで60fps以上を維持。
RTX 4080は100fps以上で、4Kゲーミングの頂点に立つ。
RTX 4070 Ti Superは、4Kで十分な性能を発揮するが、将来性を考えるとRTX 5070 TiやRX 7900 XTXも魅力的です。

 

レイトレーシング性能とDLSSの影響

 

レイトレーシングは、NVIDIAの強みであり、RTX 4070 Ti Superの第3世代RTコアとDLSS 3がその性能を最大限に引き出します。
以下で、競合GPUとのレイトレーシング性能を比較します。

 

DLSS 3とFSR 2/3の比較

 

RTX 4070 Ti Superは、DLSS 3（フレーム生成対応）を搭載し、Cyberpunk 2077のような高負荷ゲームで劇的な性能向上を実現します。
たとえば、4KのUltra設定で、DLSS 3（Qualityモード）を使用すると、23fpsから93fpsに跳ね上がります。
一方、RX 7900 XT/XTXはFSR 2を採用し、同一条件で55fps（RX 7900 XTX）。
FSR 3は対応ゲームが少なく、DLSS 3のフレーム生成に比べると効果が限定的です。
RTX 5070 TiのDLSS 4は、さらに進化したMulti Frame Generationにより、最大4倍のフレームレート向上を約束し、RTX 4070 Ti Superを上回る可能性があります。

 

レイトレーシングベンチマーク

 

Returnal（レイトレーシング有効、1440p）では、RTX 4070 Ti Superが97fpsを記録し、RX 7900 XT（63fps）を54%上回ります。
RTX 4070 Tiは90fpsで、Super版の7%向上を確認。
RTX 4080は120fpsで、ハイエンドの余裕を見せます。
RTX 5070 Tiは、RTコアの強化により、122fps（Forza Motorsport）を記録し、RTX 4070 Ti Superを約25%上回る。
AMD勢は、レイトレーシング性能でNVIDIAに大きく劣り、特に高負荷設定での差が顕著です。

 

消費電力と効率

 

消費電力は、GPU選びの重要な要素です。
RTX 4070 Ti SuperのTDPは285Wで、RTX 4070 Tiと同等ですが、競合GPUとの比較では以下の結果が得られます。

 

 

• RTX 4070 Ti Super：285W、システム全体で約350W（Hitman 3、1440p）。
  RTX 4070 Tiとほぼ同等だが、性能向上により効率が向上。
  

 

• RTX 4070 Super：220W、システム全体で約300W。
  $200安価で効率的だが、4Kでは性能不足。
  

 

• RTX 4080：320W、システム全体で約400W。
  性能は高いが、効率はRTX 4070 Ti Superにやや劣る。
  

 

• RTX 5070 Ti：300W、システム全体で約370W。
  GDDR7の消費電力増加をRTコアの効率向上がカバー。
  

 

• RX 7900 XT：300W、システム全体で約380W。
  ラスタライズでは競合するが、レイトレーシングでの効率が低い。
  

 

• RX 7900 XTX：355W、システム全体で約420W。
  性能は高いが、消費電力も最大級。
  

 

RTX 4070 Ti Superは、NVIDIAの優れた電力効率を活かし、RX 7900 XT/XTXよりも低い消費電力で同等以上の性能を発揮します。
RTX 5070 Tiは、わずかに高い消費電力だが、DLSS 4の効果で効率が向上しています。

 

クリエイティブ用途での比較

 

RTX 4070 Ti Superは、動画編集や3Dレンダリング、AI処理にも対応します。
以下で、クリエイティブ用途での性能を比較します。

 

動画編集とエンコーディング

 

Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveでのエンコーディングでは、RTX 4070 Ti Superの16GB VRAMが有利です。
4K動画の編集では、RTX 4070 Ti（12GB）よりも5～10%高速で、RTX 4070 Super（12GB）とは15%以上の差。
RX 7900 XTの20GB VRAMは大規模プロジェクトで優位だが、NVIDIAのNVENCエンコーダーの効率が勝る。
RTX 5070 Tiは、Tensorコアの強化により、AI駆動のノイズ除去やアップスケーリングで10～15%高速。
RTX 4080は、さらに20%以上の性能向上を提供します。

 

3DレンダリングとAI

 

BlenderやUnreal Engineでのレンダリングでは、RTX 4070 Ti SuperのTensorコアがAI処理を加速。
Blenderベンチマークでは、RTX 4070 Tiを約8%上回り、RX 7900 XTとほぼ互角。
RTX 5070 Tiは、FP16 TFLOPSが10%向上し、レンダリング速度が15%高速。
RX 7900 XTXの24GB VRAMは、大規模シーンで有利だが、NVIDIAのDLSSやOptiXがクリエイティブ作業での優位性を保ちます。

 

コストパフォーマンスの分析

 

RTX 4070 Ti Superの$799という価格は、競合GPUと比較してどのように評価されるのでしょうか？以下で、コストパフォーマンスを分析します。

 

価格と性能のバランス

 

RTX 4070 Ti Superは、RTX 4070 Tiと同じ$799で、16GB VRAMと10%高い性能を提供します。
RTX 4070 Super（$599）は、1440pゲーミングでコストパフォーマンスが高く、$200の価格差を正当化するには4Kやクリエイティブ用途が必要。
RTX 4080（$1,199）は、性能が20～30%高いが、価格差が大きい。
RTX 5070 Ti（$749）は、5～20%高い性能とDLSS 4で、$50安価な点が魅力だが、供給不足が課題。
RX 7900 XT（$800～$900）は、ラスタライズ性能で競合するが、レイトレーシングやDLSSの不在がマイナス。
RX 7900 XTX（$999）は、4Kラスタライズで優れるが、総合的な価値ではRTX 4070 Ti Superに及ばない。

 

将来性の考慮

 

16GB VRAMは、2025年以降のゲームやクリエイティブ作業で標準となる可能性が高く、RTX 4070 Ti Superは将来性を確保。
RTX 5070 TiのGDDR7とDLSS 4は、次世代ゲームに対応する余裕を提供。
RX 7900 XT/XTXの20GB/24GB VRAMは、大規模プロジェクトに有利だが、FSR 3の普及が遅れている点が懸念材料です。

 

どのGPUを選ぶべき？用途別おすすめ

 

RTX 4070 Ti Superと競合GPUの比較を踏まえ、用途別におすすめを提案します。

 

1440pゲーマー

 

推奨：RTX 4070 SuperまたはRTX 4070 Ti Super

1440pで高フレームレートを求めるゲーマーには、RTX 4070 Superがコストパフォーマンスに優れる。
レイトレーシングやDLSS 3を重視する場合、RTX 4070 Ti Superの16GB VRAMが安定した体験を提供。
RX 7900 XTは、ラスタライズ性能で競合するが、DLSSの不在がマイナス。

 

4Kゲーマー

 

推奨：RTX 4070 Ti SuperまたはRTX 5070 Ti

4Kゲーミングでは、RTX 4070 Ti SuperがDLSS 3を活用して高いパフォーマンスを発揮。
RTX 5070 Tiは、DLSS 4とGDDR7でさらに優れた選択肢だが、価格と供給状況を考慮する必要がある。
RX 7900 XTXはラスタライズで強いが、レイトレーシングでは劣勢。
RTX 4080は予算に余裕がある場合の選択肢。

 

ストリーマーとクリエイター

 

推奨：RTX 4070 Ti SuperまたはRTX 5070 Ti

配信や動画編集を行うユーザーには、16GB VRAMとNVENCの効率が魅力的なRTX 4070 Ti Superが最適。
RTX 5070 Tiは、AI処理やレンダリングでさらに高い性能を発揮。
RX 7900 XT/XTXはVRAMが多いが、NVIDIAのソフトウェアエコシステムがクリエイティブ作業で優位。

 

予算重視のユーザー

 

推奨：RTX 4070 SuperまたはRX 7900 XT

$600前後の予算なら、RTX 4070 SuperがDLSS 3と効率性で優れる。
RX 7900 XTは、値下げ時に$800NFLPAは、$800以下で購入できれば、ラスタライズ性能でコストパフォーマンスが高い。
RTX 4070 Ti Superは、4Kやクリエイティブ用途を重視する場合に選択肢となる。

 

購入時の注意点

 

RTX 4070 Ti Superの購入を検討する際、以下のポイントを考慮してください。

 

電源ユニットとPCケース

 

RTX 4070 Ti SuperのTDPは285Wで、推奨電源は700W～850W。
12VHPWRコネクタを採用しているため、対応ケーブルや電源ユニットの確認が必須。
RTX 5070 Tiも同様の要件だが、GDDR7の消費電力増加を考慮し、850W以上が安全。
PCケースは、3スロット設計の大型カードに対応するクリアランスが必要です。

 

在庫と価格動向

 

発売当初、RTX 4070 Ti Superは$799のMSRPで提供されたが、需要過多によりプレミア価格が発生する可能性があります。
RTX 5070 Tiは、2025年時点で供給不足が報告されており、定価での購入が困難な場合も。
RX 7900 XT/XTXは、値下げキャンペーンで$800前後になることがあり、タイミングを逃さないことが重要です。

 

競合製品の動向

 

AMDのRadeon RX 9070 XT（$599）やRX 9070（$549）は、2025年に登場し、RTX 5070と競合。
これらのGPUがFSR 3の普及を加速させれば、コストパフォーマンスでRTX 4070 Ti Superに挑戦する可能性があります。
購入前に最新のレビューを確認しましょう。

 

まとめ：RTX 4070 Ti Superは誰のためのGPUか？

 

NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti Superは、16GB VRAM、256ビットメモリバス、DLSS 3を備えたミドルレンジ上位のGPUとして、1440pおよび4Kゲーミングで優れたバランスを提供します。
競合GPUとの比較では、以下のポイントが明確になりました：

 

 

• RTX 4070 Ti：5～10%低い性能だが、値下げ品ならコストパフォーマンスが高い。
  

 

• RTX 4070 Super：$200安価で1440pに最適だが、4Kやクリエイティブ用途では劣る。
  

 

• RTX 4080：20～30%高い性能だが、価格差が大きい。
  

 

• RTX 5070 Ti：DLSS 4とGDDR7で5～20%上回るが、供給不足が課題。
  

 

• RX 7900 XT/XTX：ラスタライズ性能は競合するが、レイトレーシングとDLSSでNVIDIAに劣る。
  

 

RTX 4070 Ti Superは、1440pゲーマー、4K入門者、ストリーマー、クリエイターにとって、性能と価格のバランスが優れた選択肢です。
ただし、予算が限られる場合はRTX 4070 Super、将来性を重視するならRTX 5070 Ti、値下げを狙うならRX 7900 XTも検討価値があります。
あなたのプレイスタイルや用途に合わせて、最適なGPUを選び、最高のPC体験を手に入れてください！

 

以上、RTX 4070 Ti Superの競合GPUとの比較を徹底解説しました。
この記事が、あなたのグラフィックスカード選びの参考になれば幸いです。