1999年にPlayStationで発売された『バイオハザード3 ラストエスケープ』のリメイク作品として、2020年にカプコンからリリースされた『バイオハザードRE:3』。
前作『バイオハザードRE:2』の圧倒的な成功を受け、ファンからの期待は高まる一方だった。
しかし、発売後、ネット上では「ボリューム不足」「原作からの改変がひどい」「期待外れ」といった厳しい声が飛び交い、一部で「ひどい」という評価が目立つようになった。
本当に『バイオハザードRE:3』はひどいゲームなのか? 本記事では、ゲームの内容、評価、批判点、そして魅力について、徹底的に掘り下げていく。
プレイヤーの視点から、公平かつ詳細にレビューし、賛否両論の真相に迫る。
『バイオハザードRE:3』は、ラクーンシティを舞台に、主人公ジル・バレンタインが生物災害から脱出を目指すサバイバルホラーゲームだ。
カプコンの独自エンジン「RE ENGINE」を使用し、グラフィックやアクション性を現代風に進化させたリメイク作品である。
原作の『バイオハザード3 ラストエスケープ』は、ゾンビやクリーチャーに加え、ジルを執拗に追う強敵「ネメシス」が特徴で、緊張感あふれるゲームプレイが魅力だった。
リメイク版では、TPS(三人称視点)への変更、緊急回避システムの導入、ストーリーの再構築など、大胆なアップデートが施されている。
さらに、オンライン非対称対戦モード『バイオハザード レジスタンス』が同梱されている点も話題となった。
『バイオハザードRE:3』に対する批判は、主に以下の点に集中している。
これらのポイントを一つずつ検証し、なぜ不満の声が上がったのかを分析する。
最も多く挙げられる批判が、ストーリーの短さだ。
『バイオハザードRE:3』の初回クリア時間は、平均で5~6時間程度とされており、前作『バイオハザードRE:2』(約8~10時間)に比べて明らかに短い。
原作では、ラクーンシティの街中を探索し、複雑なパズルを解きながら進む展開が魅力だったが、リメイク版では一部のエリア(時計塔や公園など)がカットされ、全体的に直線的な進行になった。
これにより、「すぐに終わってしまった」「物足りない」という声が多く聞かれた。
実際、筆者も初回プレイ時に「もう終わり?」と感じた瞬間があった。
特に、原作の「マーセナリーズ」や「ライブセレクション」といったリプレイ性を高める要素が削減されたことも、ボリューム不足感を助長している。
「本編のボリュームは確かに少なかった。
スピードランが活発なタイトルなので長すぎるとダレるかもしれないが、もう少し遊びたかった。」(エイトゲーマーズ)
リメイク作品として、原作からの変更は避けられないが、『バイオハザードRE:3』ではその改変が「ひどい」と感じるファンも多かった。
たとえば、原作の象徴的なエリアである時計塔や墓地が削除され、代わりに新しいシーンが追加された。
また、原作の「ライブセレクション」(プレイヤーの選択で展開が変化するシステム)がなくなったことで、ストーリーの分岐やリプレイ性が低下。
ネメシスの登場頻度も、原作ではランダム性が高く緊張感を煽ったが、リメイク版ではスクリプト化されたイベントが多く、「追跡者」としての恐怖が薄れたとの指摘もある。
さらに、キャラクターのニコライやカルロスの役割が変更され、原作ファンには違和感を与えた。
たとえば、時計塔でのヘリコプターの墜落シーンや、ジルの「ハァ?」というコミカルな台詞は、原作のファンにとって印象深い瞬間だったが、リメイクではこうした要素が省略され、「原作の魂が失われた」との声も。
筆者も、原作を何度もプレイした経験から、時計塔の不在には強い失望感を覚えた。
原作のネメシスは、いつどこで現れるかわからない恐怖の象徴だったが、リメイク版ではその登場が演出過多で予測可能になり、驚きが減ったとの批判がある。
また、ネメシスがジルを執拗に追う一方で、戦闘では「舐めプ」(本気で殺さず逃がす)のような行動を取る場面が多く、ゲーム的なご都合主義が目立つとの指摘も。
終盤では、ネメシスが巨大なクリーチャーに変形し、原作のような「知能を持った追跡者」としての魅力が薄れたと感じるプレイヤーもいた。
筆者のプレイでは、ネメシスの人型形態での戦闘は確かに緊張感があったが、変形後は単なるボス戦に感じられ、原作の「追い詰められる感覚」が再現しきれていない印象を受けた。
『バイオハザード』シリーズの魅力の一つは、アイテムやパズルを駆使して進む謎解き要素だが、『バイオハザードRE:3』ではこれがほぼ排除された。
原作では、街中のパズルや鍵の入手が探索の醍醐味だったが、リメイク版では直線的なアクション重視の設計になり、謎解きが簡略化。
プレイヤーからは「ただ走って撃つだけ」「頭を使う場面が少ない」との不満が上がっている。
実際、筆者もパズルらしいパズルは電車の配線くらいしか記憶に残らず、探索の楽しさが物足りなかった。
本作には、オンライン非対称対戦ゲーム『バイオハザード レジスタンス』が同梱されているが、これも賛否両論の要因だ。
1人のマスターマインドが4人のサバイバーをトラップやクリーチャーで妨害するゲーム性は斬新だが、シングルプレイを期待していたファンからは「余計なモード」「本編のボリュームを削ってまで入れる必要があったのか」と批判された。
さらに、オンラインマッチングの不安定さやバランス調整の難しさも指摘され、長期的な人気を獲得できなかった。
筆者はレジスタンスを数回プレイしたが、確かにアイデアは面白いものの、本編の物足りなさを補うほどの魅力には欠けると感じた。
批判が多い一方で、『バイオハザードRE:3』には多くの魅力が存在する。
以下では、肯定的な評価やプレイヤーが楽しめるポイントを紹介する。
RE ENGINEによるグラフィックは、前作『RE:2』同様に圧巻だ。
ラクーンシティの崩壊した街並み、ゾンビのディテール、ネメシスの迫力あるデザインは、視覚的な没入感を高めている。
特に、ジルの表情やアニメーションは感情移入を誘い、ストーリーの緊迫感を強化。
筆者は、街中の炎や瓦礫のリアルさに何度も見とれてしまった。
BGMや効果音もホラー体験を盛り上げ、アクションシーンではアドレナリン全開の興奮を味わえた。
リメイク版では、緊急回避やステップ移動といった新システムが導入され、戦闘がよりダイナミックに。
原作では固定視点による硬派な操作感だったが、TPS視点とスムーズな操作性により、アクションゲームとしての爽快感が増した。
ネメシスとのチェイスシーンでは、回避を駆使して切り抜けるスリルが味わえる。
アクション重視のバイオを好むプレイヤーからは「スピード感があって楽しい」「回避ゲーがハマる」との声も多い。
筆者も、緊急回避をタイミングよく決めた瞬間は、まるでアクション映画の主人公になった気分だった。
ストーリーは原作から変更されたが、ジルやカルロスの人間味あふれる描写は好評だ。
特に、ジルのタフで勇敢なキャラクター性は、リメイク版でさらに掘り下げられ、女性主人公としての魅力が際立つ。
カルロスも、原作ではやや脇役だったが、リメイクでは活躍シーンが増え、プレイアブルキャラクターとしての存在感が強い。
ストーリー自体は単体で完結しており、シリーズ未プレイでも楽しめる点も初心者に優しい。
筆者は、ジルとカルロスの掛け合いや、ニコライの裏切り展開に引き込まれた。
ボリューム不足が批判される一方で、周回プレイの楽しさは見逃せない。
ゲーム内レコードやショップシステムにより、クリア後のアンロック要素(無限武器やコスチューム)が充実。
難易度「INFERNO」では、ネメシスの攻撃が一撃死級になり、やり込み派には歯ごたえ十分だ。
筆者は、Sランククリアを目指して何度も挑戦し、スピードランにハマった。
こうした要素は、短い本編を補う形でリプレイ性を高めている。
『バイオハザードRE:3』の評価が分かれる大きな理由は、前作『RE:2』の完成度の高さにある。
『RE:2』は、ホラーとアクションのバランス、謎解きの豊富さ、タイラントの恐怖、リプレイ性の高さで絶賛された。
対して『RE:3』は、アクション寄りの設計やボリュームの少なさで、「RE:2に及ばない」との声が多い。
以下に、両者の主な違いをまとめる。
項目 | バイオハザードRE:2 | バイオハザードRE:3 |
---|---|---|
クリア時間 | 8~10時間 | 5~6時間 |
謎解き | 豊富(警察署のパズルなど) | ほぼなし |
敵の脅威 | タイラントのランダム登場 | ネメシスのスクリプト登場 |
リプレイ性 | 表裏シナリオ、セカンドラン | ショップ、レコード |
筆者としては、『RE:2』の濃密なホラー体験に比べ、『RE:3』はアクション映画のような軽快さが特徴だと感じた。
どちらが優れているかは、プレイヤーの好み次第だろう。
ネット上のレビューやSNSを調査すると、『バイオハザードRE:3』への評価は大きく二極化している。
以下に、代表的な意見をまとめる。
筆者も、両方の意見に共感する部分がある。
アクションやグラフィックの進化は素晴らしいが、原作ファンの期待に応えきれなかった部分は否めない。
『バイオハザードRE:3』を「ひどい」と一言で片付けるのは、少々乱暴だ。
確かに、ボリューム不足や原作からのカット、ネメシスの扱いなど、批判される点は多い。
しかし、グラフィックの美しさ、アクションの爽快感、ジルやカルロスの魅力、周回プレイの楽しさなど、優れた要素も豊富にある。
問題は、前作『RE:2』の完成度が高すぎたことと、原作ファンの期待が大きすぎたことにある。
リメイクとしてのクオリティは高く、アクション寄りのバイオを好むプレイヤーやシリーズ初心者には十分楽しめる作品だ。
筆者の個人的な評価は、10点満点で7.5点。
原作の魂を完全に継承できなかった点は残念だが、単体としては良質なサバイバルホラーである。
以下に、『バイオハザードRE:3』をオススメするプレイヤーと、そうでないプレイヤーをまとめる。
『バイオハザードRE:3』の不満点を解消するには、追加コンテンツや続編での改善が期待される。
たとえば、以下の要素が追加されれば、評価は大きく変わるだろう。
筆者としては、時計塔を舞台にしたジルの短編DLCがあれば、原作ファンの不満もかなり解消されるのではないかと思う。
『バイオハザードRE:3』は、完璧なリメイクとは言えないが、決して「ひどい」ゲームではない。
原作ファンにとっては物足りなさがあるものの、アクション性の高さやグラフィックの美しさは現代のサバイバルホラーとして十分な魅力を持つ。
プレイする際は、原作と切り離して楽しむこと、スピードランや高難易度に挑戦することが鍵だ。
セールで安価に購入できるなら、試す価値は大いにある。
あなたがアクションとホラーの融合を求めるなら、このゲームはきっと満足させてくれるだろう。
最終的に、プレイヤー自身の期待値と好みが、このゲームの評価を左右する。
ぜひ、自分の手でラクーンシティの脱出劇を体験してほしい。