十三機兵防衛圏はつまらない?傑作と評価されるゲームの魅力と賛否を徹底解説

アトラスとヴァニラウェアがタッグを組んで2019年に発売した『十三機兵防衛圏』は、13人の少年少女が織りなすSFアドベンチャーゲームとして、国内外で高い評価を受けてきました。
全世界で50万本以上を売り上げるヒット作となり、ゲームクリエイターの桜井政博氏をはじめとする多くのプレイヤーから「唯一無二の傑作」と称賛されています。
しかし、一部では「ストーリーが複雑すぎる」「バトルパートがつまらない」といった声も存在します。
この記事では、『十三機兵防衛圏』が本当に「つまらない」のか、その魅力と課題を多角的に分析し、どんな人に刺さるゲームなのかを紐解いていきます。

 

 

十三機兵防衛圏とは?ゲームの概要

『十三機兵防衛圏』は、ヴァニラウェアが開発し、アトラスが発売したPlayStation 4向けのドラマチックアドベンチャーゲームです。
2022年にはNintendo Switch版もリリースされました。
物語は、1985年の日本を主な舞台に、突如出現した「怪獣」によって崩壊する世界を救うため、13人の少年少女が「機兵」と呼ばれる巨大ロボットに乗り込んで戦うSFジュブナイルです。
ゲームは以下の3つのパートで構成されています。

 

     

  • 追想編:13人の主人公それぞれの視点で展開するアドベンチャーパート。
    物語を進めながら、キーワードを集めて謎を解き明かします。
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  • 崩壊編:機兵を操作して怪獣と戦うタワーディフェンス型のバトルパート。
    戦略的な戦闘が求められます。
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  • 究明編:物語や世界観の背景を整理したアーカイブを閲覧するパート。
    プレイヤーが情報を深く理解する手助けとなります。

 

ヴァニラウェアの特徴である美麗な2Dグラフィックと、緻密に構築されたストーリーが本作の大きな魅力です。
しかし、複数の主人公と時代を行き来する複雑な構成が、プレイヤーによってはハードルとなる場合もあります。
では、なぜ一部で「つまらない」という声が上がるのでしょうか?以下で、その理由を掘り下げます。

 

「つまらない」と言われる理由を分析

 

『十三機兵防衛圏』は多くのプレイヤーから絶賛されていますが、批判的な意見も存在します。
以下に、代表的な「つまらない」と感じる理由を挙げ、その背景を考察します。

 

1. ストーリーの複雑さに追いつけない

 

本作のストーリーは、13人の主人公それぞれの視点で展開し、過去・現在・未来を行き来する群像劇です。
複数の時間軸やキャラクターの関係性が徐々に明らかになるため、情報量が多く、物語の全貌を把握するまで時間がかかります。
一部のプレイヤーは、この複雑さに「頭がパンクする」「何が起こっているのか分からない」と感じ、途中で投げ出してしまうケースがあるようです。
特に、固有名詞や専門用語が多く登場することも、理解のハードルを上げています。
たとえば、レビューサイトでは「ストーリーを自分から読みに行く気力が湧かなかった」という声も見られました。

 

この点は、プレイヤーの好みに大きく左右されます。
能動的にストーリーを考察し、情報を整理しながら進めたい人にはたまらない魅力ですが、受け身で物語を楽しみたい人には負担となる可能性があります。

 

2. バトルパートが期待外れ

 

崩壊編のバトルパートは、タワーディフェンス型のシミュレーション戦闘で、機兵を操作して怪獣の襲撃から拠点を守ります。
しかし、このパートは「見た目が地味」「戦略性が乏しい」と感じるプレイヤーもいます。
アドベンチャーパートの美麗なグラフィックに比べ、バトルパートは簡素なビジュアルで、キャラクターや機兵のアニメーションが少なく、戦闘の爽快感が物足りないという意見が散見されます。
あるレビューでは「戦闘はおまけ程度」と割り切る声もありました。

 

一方で、バトルパートを楽しんだプレイヤーも多く、特に機兵のタイプ(近接型、遠距離型など)を組み合わせた戦略や、敵の物量を一掃する爽快感を評価する声もあります。
バトルパートの評価は、プレイヤーのゲームジャンルの好みや期待値に依存していると言えるでしょう。

 

3. アドベンチャーパートの操作性が単調

 

追想編では、キャラクターを操作して会話を進めたり、キーワードを使った「クラウドシンク」システムで謎を解いたりします。
しかし、操作は基本的に移動と選択のみで、複雑なアクションはなく、一部では「画面を見ているだけ」「単純な動きしかできない」と感じる声があります。
特に、フラグが立っていないと同じ会話を繰り返す場面もあり、テンポが悪いと感じるプレイヤーもいるようです。

 

ただし、この操作性のシンプルさは、ストーリーに集中するための工夫とも言えます。
ヴァニラウェアは、物語を直感的に楽しめるよう、複雑な操作を排除した設計を採用しており、これが逆に「物語体験を邪魔しない」と高く評価されるポイントでもあります。

 

4. 期待値とのギャップ

 

『十三機兵防衛圏』は発売前から大きな注目を集め、メディアやプレイヤーから「傑作」「神ゲー」との呼び声が高かったため、期待値が非常に高まっていました。
しかし、実際にプレイした一部のプレイヤーは「そこまでではなかった」と感じ、失望感を抱いたようです。
特に、RPGやアクションゲームを期待していた人にとって、ノベルゲーム寄りのアドベンチャーやタワーディフェンス型の戦闘は、想像と異なる体験だった可能性があります。
あるユーザーは「ペルソナ5のようなRPGを期待したら違った」とコメントしています。

 

このギャップは、事前の情報収集や体験版のプレイで軽減できる部分もありますが、マーケティングによる過剰な期待感も一因と考えられます。

 

「つまらない」を覆す十三機兵防衛圏の魅力

 

批判的な意見がある一方で、『十三機兵防衛圏』が多くのプレイヤーを魅了し、傑作と評される理由は何でしょうか?以下に、本作の主要な魅力を詳しく解説します。

 

1. 緻密に構築されたストーリーと群像劇

 

本作の最大の魅力は、13人の主人公が織りなす群像劇と、時系列をバラバラに再構築した独特のストーリー展開です。
各キャラクターのエピソードは短く、10分程度で進行しますが、他のキャラクターの物語と交錯しながら、徐々に大きな物語の真相に迫っていきます。
この「断片的な物語をプレイヤー自身が組み立てる」体験は、ビデオゲームならではの没入感を生み出します。
IGN Japanのレビューでは、「ゲームで物語を語る一つの完成形」とまで評されています。

 

たとえば、あるキャラクターの視点では分からなかった事実が、別のキャラクターのエピソードで明らかになる瞬間は、プレイヤーに「ハッとする」驚きを与えます。
また、ストーリーの複雑さは、考察好きなプレイヤーにとって「自分だけの物語体験」を構築する楽しさを提供します。
プレイヤーによってどのキャラクターから進めるかで印象が変わるため、何度も遊びたくなるリプレイ性も備えています。

 

2. ヴァニラウェアらしい美麗なグラフィック

ヴァニラウェアは、『オーディンスフィア』や『ドラゴンズクラウン』で培った美麗な2Dグラフィックで知られていますが、『十三機兵防衛圏』でもその実力が遺憾なく発揮されています。
夕日に照らされた教室、怪獣に破壊された街並み、光の表現が織りなすノスタルジックな雰囲気は、プレイヤーの心を強く揺さぶります。
あるレビューでは、「光の表現に情念が込められている」とまで称賛され、印象的なシーンが記憶に残ると評価されています。

 

特に、背景の描き込みの細かさや、キャラクターのアニメーションの滑らかさは、アドベンチャーパートを視覚的に魅力的なものにしています。
このグラフィックは、ストーリーの感情的なシーンを強調し、プレイヤーの没入感を高める重要な要素です。

 

3. キャラクターの魅力と声優陣の演技

 

13人の主人公は、それぞれ異なる個性と背景を持ち、プレイヤーに愛着を与えます。
不良少年の緒方稔二、スケバン風の鷹宮由貴、純粋なヒーロー気質の鞍部十郎など、多彩なキャラクターが物語を彩ります。
さらに、豪華声優陣(下野紘、早見沙織、福圓美里など)の演技が、キャラクターに深みを与えています。
ある女性プレイヤーは「ストーリーは難しかったけど、キャラクターがすごく良かった」とコメントしており、キャラクター愛で最後までプレイできたケースも多いようです。

 

各主人公には専用エピソードがあり、キャラクター同士の関係性が徐々に明らかになるため、特定のキャラクターに感情移入しやすい設計も魅力です。
プレイヤーは、好きなキャラクターの物語を優先的に進めることで、ゲームへのモチベーションを維持できます。

 

4. ゲームシステムの工夫

 

『十三機兵防衛圏』のゲームシステムは、ストーリー体験を最大化するために工夫されています。
たとえば、追想編の「クラウドシンク」システムでは、会話で得たキーワードを思考したり相手に投げかけたりすることで、新たな展開を引き出します。
このシステムは、直感的に物語を進められるだけでなく、プレイヤー自身が謎解きに参加している感覚を与えます。

 

また、アドベンチャーパートとバトルパートを分離した設計は、物語のテンポを損なわず、戦闘の戦略性を楽しむための配慮です。
バトルパートでは、近接型、遠距離型、飛行型など、異なる特性を持つ機兵を組み合わせ、敵の物量を効率的に倒す戦略が求められます。
このシステムは、シミュレーションゲームが好きなプレイヤーにとってハマる要素となっています。

 

どんな人に刺さる?どんな人には合わない?

 

『十三機兵防衛圏』が「つまらない」かどうかは、プレイヤーの好みやゲームに求める要素に大きく依存します。
以下に、どんな人にオススメか、逆に合わない可能性があるかをまとめます。

 

こんな人にオススメ

 

     

  • SFやジュブナイルが好きな人:複雑な時間軸やロボット、怪獣といったSF要素が好きな人には、ストーリーの奥深さが刺さります。
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  • 考察や謎解きを楽しみたい人:断片的な情報を自分で組み立て、物語の真相を推理する過程を楽しめる人には最適です。
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  • キャラクター重視のゲームを求める人:魅力的なキャラクターや声優の演技に惹かれる人なら、13人の主人公に感情移入できるでしょう。
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  • ヴァニラウェアのファン:『オーディンスフィア』や『ドラゴンズクラウン』の美麗なグラフィックや独特の世界観が好きな人には、間違いなくハマります。

 

こんな人には合わないかも

 

     

  • シンプルなストーリーを求める人:情報量が多く、複雑な物語を追うのが苦手な人には、ストレスになる可能性があります。
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  • アクションやRPGを期待する人:ノベルゲーム寄りのアドベンチャーやタワーディフェンス型の戦闘がメインのため、派手なアクションやレベル上げを求める人には物足りないかもしれません。
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  • テンポの良いゲームを好む人:フラグ管理や繰り返しの会話が必要な場面があるため、テンポの遅さが気になる人には不向きです。

 

体験版をプレイして判断しよう

 

『十三機兵防衛圏』には無料の体験版が用意されており、序盤のストーリーやゲームシステムを試すことができます。
多くのレビューで「体験版をプレイしたらハマった」という声が上がっており、購入前に自分に合うか確認するのに最適です。
電撃オンラインでは、「体験版を終える頃にはトリコになる」と推奨されています。
特に、ストーリーの複雑さやバトルパートの感触を事前に体験することで、期待値とのギャップを減らせます。

 

賛否両論を踏まえた総合評価

 

『十三機兵防衛圏』は、緻密なストーリー、美麗なグラフィック、魅力的なキャラクターを武器に、ゲーム史に残る傑作と評価される一方で、複雑さやバトルパートの地味さが人を選ぶ作品でもあります。
ファミ通のクロスレビューでは平均9.5点という高評価を獲得し、プレイヤーレビューでも「記憶を消してまた遊びたい」「一生心に残るゲーム」との声が多数寄せられています。
しかし、「ストーリーが難しすぎる」「戦闘が単調」と感じるプレイヤーも一定数存在し、すべてのゲーマーに無条件でオススメできるわけではありません。

 

個人的な見解としては、本作は「過程を楽しむゲーム」であり、ストーリーを能動的に追いかけ、考察することに喜びを見出せるプレイヤーにとって、これ以上ない体験を提供します。
一方で、カジュアルに楽しみたい人や、アクション性の高いゲームを求める人には、他のタイトルが適しているかもしれません。
プレイ時間は約25~30時間程度で、じっくりと物語に浸りたい人に最適です。

 

結論:つまらないかどうかはあなた次第

『十三機兵防衛圏』が「つまらない」かどうかは、プレイヤーの好みやゲームに求める要素によって大きく異なります。
複雑なストーリーや群像劇に魅力を感じ、ヴァニラウェアの美学に心を奪われる人には、間違いなく「神ゲー」です。
一方で、シンプルなゲームプレイや派手な戦闘を求める人には、物足りなく感じる可能性があります。
もし興味を持ったなら、まずは体験版をプレイして、自分に合うか確かめてみてください。
あなたにとって、『十三機兵防衛圏』はどんな物語を紡ぐのでしょうか?その答えは、プレイヤー自身の手で紐解かれるのを待っています。