メタルギアソリッド リメイクは本当に中止されたのか?噂と事実を徹底解剖

『メタルギアソリッド』(以下、MGS)は、1998年にプレイステーション向けに発売されたステルスアクションゲームの金字塔であり、Hideo Kojima(小島秀夫)監督とKonamiが生み出した伝説的なフランチャイズです。
シリーズはその後も『MGS2』『MGS3』『MGS4』など多くの名作を生み出し、世界中に熱狂的なファンを獲得しました。
しかし、近年、MGSのリメイクに関する噂や「中止」の話題がネット上で飛び交っています。

 

特に、ファンメイドプロジェクトや公式リメイクの可能性についての議論が過熱。
この記事では、MGSリメイク中止の真相、過去の事例、現在の状況、そして今後の可能性を徹底的に掘り下げます。

 

 

メタルギアソリッド リメイク中止の噂の起源

 

ファンメイドプロジェクト「Shadow Moses」のキャンセル

MGSリメイク中止の話題で最もよく知られているのは、2016年に中止が発表されたファンメイドプロジェクト『Shadow Moses』です。
このプロジェクトは、インディー開発者のAiram Hernandezを中心とするチームが、Unreal Engine 4を使用して初代MGSを現代的なグラフィックでリメイクしようとしたもの。
オリジナル版のゲームプレイを忠実に再現しつつ、ビジュアルを一新する試みは、ファンから大きな注目を集めました。
2016年1月に公開されたトレーラーは、20,000以上の「いいね」を獲得するなど、期待の高さを示していました。

 

 

しかし、2016年3月、チームは公式Facebookページで「制御できない理由により、Shadow Mosesプロジェクトを中止せざるを得ない」と発表。
具体的な理由は明かされなかったが、Konamiからの法的措置や許可の不承認が原因と広く推測されています。
ファンの間では、「Konamiが知的財産(IP)の使用を許可しなかった」「法的リスクを避けるためにプロジェクトを自主的に終了した」との声が飛び交いました。
あるファンは「Konamiはファンを遠ざける決断ばかりする」と失望を表明し、別のユーザーは「IP保護はビジネス上当然」と擁護するなど、意見が分かれました。

 

1987年『Metal Gear』リメイクのキャンセル

もう一つの注目すべき中止事例は、2014年に中止された初代『Metal Gear』(1987年、MSX2)のファンメイドリメイクです。
Outer HeavenチームがValveのSource Engine(後にUnreal Engine 4に移行)で開発を進め、Solid Snakeの声優David HayterやColonel Roy Campbell役のPaul Eidingがボイスを提供するなど、豪華なプロジェクトでした。
驚くべきことに、開発チームはKonami UKのJay Boor氏から口頭での承認を得ており、正式な契約が準備中とされていました。

 

 

しかし、2014年8月、Konami本社(日本)の反対によりプロジェクトは中止。
チームリーダーのIan Ratcliffe氏は、「Konami内部でプロジェクト継続の是非を巡る意見の対立があった」と明かしました。
このケースは、Konamiがファンプロジェクトに対して当初は好意的であっても、最終的にIP保護を優先する傾向を示しています。
Ratcliffe氏は後に、「Konamiは今後のアイデアがあれば協力すると言ってくれた」と語りましたが、具体的な進展はありませんでした。

 

公式リメイクの噂と「中止」の誤解

ファンメイド以外にも、Konamiによる公式MGSリメイクの噂がたびたび浮上しては消えています。
特に、初代MGS(1998年)のリメイクがBluepoint Games(『Demon’s Souls』リメイクで知られる)によって開発中とのリークが2021~2024年に話題に。
2024年1月、スペインのメディアAreajugonesは、「MGSリメイクがKonamiの主要プロジェクトとなり、PS5独占で開発中」と報じました。
しかし、このプロジェクトに関する公式発表はなく、一部で「計画がキャンセルされた」との憶測が広まりました。

 

 

実際には、MGSリメイクの中止を示す確固たる証拠はない
Konamiは2023年に『Metal Gear Solid Delta: Snake Eater』(MGS3リメイク)を正式発表し、2025年8月28日の発売を予定しています。
この成功如何で、初代MGSリメイクの可能性が左右される可能性が高い。
したがって、「中止」の噂は、公式発表の不在やファンメイドの失敗が混同された結果と考えられます。

 

なぜリメイクプロジェクトは中止されやすいのか

 

法的・知的財産の問題

ファンメイドリメイクが中止される最大の理由は、知的財産権(IP)の問題です。
MGSはKonamiの重要な資産であり、無許可でのリメイクは著作権侵害に該当します。
『Shadow Moses』のケースでは、開発チームが公開性を保ちKonamiの承認を期待しましたが、結果的に許可を得られず中止。
Kotakuの報道によると、KonamiはIP保護を優先し、ファンプロジェクトを黙認することはまれです。
一方で、『Street Fighter vs. Mega Man』(2012年)のように、出版社がファンプロジェクトを公式に支援した例もあるため、Konamiの慎重な姿勢は際立っています。

 

Konamiの戦略と内部事情

Konamiの企業戦略も、リメイク中止の背景に影響を与えています。
2015年、Hideo KojimaがKonamiを退社し、同社はAAAコンソールゲームからモバイルゲームやアーケードに注力する方針を発表。
この時期、MGSフランチャイズは『Metal Gear Survive』(2018年)のような不評なスピンオフに限定され、新作やリメイクの動きは停滞しました。
2018年の『Survive』の商業的失敗は、KonamiのMGSへの投資意欲をさらに低下させた可能性が。

 

しかし、2021年以降、Konamiは『Silent Hill』や『Castlevania』とともにMGSフランチャイズの復活に着手。
『MGS Delta』の発表はその象徴ですが、初代MGSリメイクの優先度は低いと推測されます。
2024年10月、プロデューサーのNoriaki Okamura氏はファミ通のインタビューで、「初代MGSのリメイクには、MGS3とは異なるアプローチが必要。
レベルデザインの再構築など、新規作成が必要な部分が多い」と語り、開発の複雑さを示唆。
これが「中止」の噂を助長した可能性がありますが、実際には「まだ計画段階にない」と解釈するのが妥当です。

 

ファンの期待と現実のギャップ

MGSファンの高い期待も、中止の噂を増幅させています。
Kojimaの退社後、ファンは「KojimaのいないMGSは本物ではない」との感情を抱きがちで、リメイクの噂に対する懐疑的な声が強い。
RedditのMGSコミュニティでは、「Konamiはリメイクを発表しても、結局キャンセルするんじゃないか」との投稿が見られ、過去のファンプロジェクト中止がトラウマ化している様子がうかがえます。
また、2023年に35周年を迎えたMGSが目立った新作発表なしに終わったことも、失望感を増幅させました。

 

現在進行中のMGSリメイク:『Metal Gear Solid Delta: Snake Eater』

 

MGS3リメイクの概要

Konamiが現在注力しているのは、『Metal Gear Solid Delta: Snake Eater』(以下、Delta)。
これは2004年の『MGS3: Snake Eater』のフルリメイクで、2025年8月28日にPS5、Xbox Series X/S、PC(Steam)で発売予定です。
主な特徴は以下の通り。

 

     

  • 忠実な再現:オリジナル版のストーリー、キャラ、ボイス(David Hayterらオリジナル声優を再利用)、ゲームプレイを忠実に再現。
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  • Unreal Engine 5:最新エンジンでジャングルやキャラモデルを高精細に描画。
    光の反射やリアルな植生が特徴。
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  • 現代化:MGS5由来の操作性(しゃがみ歩き、第三者視点エイム)、自由なカメラ、QOL向上(インベントリ管理の改善など)を導入。
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  • 追加要素:ミニゲーム「Snake vs. Monkey」や新コレクタブル(GA-KOダック)が復活。

2023年5月のPlayStation Showcaseで初公開され、2024年6月のXbox Games Showcaseや東京ゲームショウでゲームプレイトレーラーが公開。
PC Gamerのハンズオンプレビューでは、「オリジナルをほぼ完璧に再現しつつ、現代的な快適さを加えた」と絶賛されています。

 

Deltaが初代MGSリメイクに与える影響

『Delta』の成功は、初代MGSリメイクの可能性を大きく左右します。
Okamura氏は、「Deltaの反響を見て、次のプロジェクトを検討する」と述べており、売上や評価が良好なら初代MGSや『MGS2』のリメイクが現実味を帯びる。
一方で、Deltaが失敗した場合、KonamiがMGSフランチャイズへの投資を再び縮小するリスクも。
ファンの間では、「Deltaがヒットすれば、BluepointのMGS1リメイクが動き出す」との楽観的な声も聞かれます。

 

過去のリメイクと中止された関連プロジェクト

 

『Metal Gear Solid: The Twin Snakes』(2004年)

初代MGSは、2004年にゲームキューブ向けリメイク『Metal Gear Solid: The Twin Snakes』としてリリース済み。
Silicon Knightsが開発し、MGS2のゲームエンジンとカットシーン演出を採用。
David Hayterらのボイスも再録され、グラフィックと操作性が向上しました。
しかし、オリジナル版のバランス(例:第一者視点エイムによる難易度低下)が変化したため、賛否両論に。
現在、Switchなど現代プラットフォームでの再リリースはなく、ファンは新たなリメイクを求めています。

 

 

ボードゲームと映画のキャンセル

MGS関連プロジェクトのキャンセルは、ビデオゲームに限りません。
2020年12月、MGSを基にしたボードゲームが、出版社IDWによりキャンセル。
デザイナーのEmerson Matsuuchi氏は、資金提供や資産買い取りを提案しましたが、Konamiとの交渉が決裂。
また、MGS映画化プロジェクトも長年「制作地獄」にあり、2023年のRedditスレッドでは、「Oscar Isaac主演の映画はストーリーすら決まっていない」との失望が共有されました。
監督のJordan Vogt-RobertsはMGSファンとして知られ、Kojimaも脚本に関与する予定でしたが、進捗は停滞。
これらの事例は、KonamiがMGSのIP活用に慎重であることを示しています。

 

MGSリメイクが直面する課題

 

Kojima不在の影響

Hideo Kojimaの退社は、MGSリメイクの最大の障壁です。
Kojimaの独特なストーリーテリング、映画的演出、細部へのこだわりはMGSの核心。
『Delta』はKojima抜きで開発されていますが、オリジナル音声の再利用や忠実な再現により、「Kojimaの魂」を保つ努力がされています。
しかし、初代MGSのリメイクは、レベルデザインの大幅な刷新が必要であり、Kojimaのビジョンなしでの再構築はファンから懐疑的に見られがち。
Redditでは、「KojimaなしのMGSは別物」との声が根強い。

 

技術的・デザイン的難易度

初代MGSは、固定カメラと限られた3D空間を前提としたデザインが特徴。
現代のプレイヤーは、MGS5のような自由なカメラやオープンワールドを期待するため、単純なグラフィック強化では満足しない可能性が。
Okamura氏は、「初代MGSのリメイクは、レベルデザインをゼロから作り直す必要がある」と指摘。
たとえば、Shadow Moses島の狭い通路や監視カメラの配置を、現代のステルス基準に合わせて再設計するのは大規模な作業です。

 

ファンの期待管理

MGSファンは、オリジナルへの忠実さと現代化のバランスを求めます。
『The Twin Snakes』は現代化を優先した結果、一部ファンから「オリジナルと異なる」と批判されました。
『Delta』が「ほぼ完璧な再現」と評価される一方、初代MGSリメイクにはさらなる革新性が求められる。
過度な変更はファンの反発を招き、保守的すぎると「焼き直し」と批判されるリスクが。
Konamiは、ファンの声をどう取り入れるかが鍵です。

 

 

今後のMGSリメイクの可能性

 

初代MGSリメイクの展望

現時点で、初代MGSリメイクの公式発表はありませんが、可能性はゼロではない。
Areajugonesのリーク(2024年1月)によると、Konamiは『Delta』後にMGSリメイクに注力予定で、PS5独占(他プラットフォームも後日対応の可能性)を目指している。
Bluepoint Gamesの関与は未確認だが、Konamiが外部スタジオ(『Delta』のVirtuosなど)と協力する傾向は強い。
また、Okamura氏は「MGSシリーズを10年、50年残すため、すべての作品をPCで遊べるようにしたい」と述べており、初代MGSの復刻やリメイクが長期計画に含まれる可能性が。

 

『Shadow Moses』の教訓とファンプロジェクトの未来

『Shadow Moses』チームは、キャンセル後、『The Fan Legacy: Metal Gear Solid』という仮想博物館プロジェクトに転換。
David Hayterがナレーションを提供し、ファンアートやMGSの名シーンを展示する無料体験として2016年に公開されました。
この事例は、ファンがKonamiのIPを尊重しつつ、創造性を発揮する道を示唆。
将来、Konamiがファンプロジェクトを公式に支援する可能性は低いが、コミュニティ主導のMODや非営利プロジェクトが活発化するかもしれません。

 

次世代機とMGSの未来

2025年に噂される「Nintendo Switch 2」やPS5 Proの登場は、MGSリメイクの技術的可能性を広げます。
Unreal Engine 5の進化により、初代MGSのShadow Moses島をオープンワールド風に再構築することも夢ではない。
Konamiが『Delta』の成功を足がかりに、MGS1、MGS2、さらには『MGS4』(現在PS3限定)のリメイクやリマスターに着手する可能性は、ファンにとって希望の光です。

 

 

結論:MGSリメイク中止は誤解、未来に期待

 

『メタルギアソリッド』のリメイク中止に関する話題は、ファンメイドプロジェクト(『Shadow Moses』や『Metal Gear』リメイク)のキャンセルと、公式リメイクの遅延や噂の混同に由来します。
現時点で、初代MGSリメイクが公式に中止された証拠はなく、むしろ『Metal Gear Solid Delta: Snake Eater』の成功が次のリメイクへの道を開く可能性が高い。
KonamiのIP保護姿勢やKojima不在は課題ですが、ファンの情熱と技術の進化がMGSの復活を後押ししています。

 

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